2023年2月1日

トレーサビリティの確立ってどういうこと!?【成光工業の取り組みを徹底解説】

今回のブログでは、わが社の品質管理で重要とされる
トレーサビリティについて取り組みを詳しく解説いたします。

トレーサビリティってなに!?

年々トレーサビリティの重要性が高まり、
あらゆるものづくりの仕事で耳にする機会が多くなりました。

言葉は聞いたことがあるものの、
内容を説明するとなると難しいと思われる方は多いのではないでしょうか。

トレーサビリティとは、「trace(追跡)」 + 「ability(能力)」 の2つの単語を組み合わせた造語です。
日本語の直訳で 「追跡可能性」 と言われています。

原材料の調達から生産、流通、販売まで 全ての過程の記録を追跡可能な仕組み をいい、
製品が いつ、どこで、だれが、どのように 作ったのか明らかになっている状態を示します。

私たちの生活の中で身近なものでは、
農産物がトレーサビリティのシステムが一般的になってきました。

商品のラベル記録(バーコード、二次元コード)を確認すれば
いつ・どこで・だれが生産したのか情報がわかり生産履歴を確認することができます。
直売所では商品に生産者の写真が貼られている農産物もありますね。

  • 消費者が安心して購入するための情報の取得

  • トラブルが発生した時の連絡先、商品の回収、生産者の迅速な対応

こういったことが可能となっている仕組みが トレーサビリティ です。

製造業も含めた幅広い業種において、トレーサビリティが確立されていること。

これこそが 製品の安心・安全性の確保、消費者からの信頼を獲得する上での重要な要素 であります。

トレーサビリティのメリットは?

わが社の金属プレス製造でのトレーサビリティは、
1.生産性向上、品質向上 2.不具合に対しての迅速な処置対応 3.顧客満足度の向上 
がメリットに挙げられます。

1. 生産性向上、品質向上

(1)生産の記録によりデータが蓄積され作業者別の傾向、
設備異常の傾向、金型の故障傾向が明確となり
作業方法の改善、設備改善、金型改善につながり、生産性の向上が図られます。

(2)ロット別の寸法、外観検査記録データの傾向より品質の変化を把握して、
金型のメンテナンス時期や品質改善により品質向上が図られます。

2. 不具合に対して迅速な処置対応

(1)不具合が発生した場合に対象ロットを速やかに特定することができるため
不具合品の回収、処置対応が迅速にできます。

(2)問題のあった不具合に対して生産記録、履歴より真の原因を特定することで
有効な対策を実施することができます。

3. 顧客満足度の向上

(1)製品の製造過程がトレース(追跡)できることは品質の保証につながり、
お客様にとって安心、安全に製品をご使用いただけることとなります。

(2)製品のロット管理、識別表示、検査記録などを明確にすることで信頼性が向上します。

わが社のトレーサビリティ!

わが社では製造プロセスの情報を記録に残しロット管理、変化点管理、製品の識別を行っております。
記録を追跡可能な状態で管理し、万が一生産過程やお客様でのトラブルが発見された場合には
対象ロットの特定により迅速な処置、原因の追究、対策を行い再発防止に努めております。

それでは、わが社の金属プレス製造についてトレーサビリティを紹介します。

〈主なプレス部品の製造プロセス資料〉

内部トレーサビリティ参考事例

トレーサビリティに取り組む上で、まず各プロセスで ロット別に記録 をして
生産品に対して 識別表示 をすることが基本となります。

各プロセスの記録はロット管理され 生産管理システムによりデータ管理 されています。

ロット管理は箱単位に 製造番号を付与 することで、
異常があった際に対象品の 範囲を限定 でき、 迅速な対応が可能 となります。

識別

しかし現在の運用において課題もあります。

製造現場の記録が紙ベースのため書く手間、データをシステムへ反映するための手間があり、
リアルタイムに全部門へ情報が共有できていないことが発生しています。

今後、IT部門と情報を共有して IoT :Internet of Things(モノのインターネット)の技術を利用して
リアルタイムに製造現場の情報共有、データ蓄積 できる生産管理システムの構築をめざしております。

最後に・・・

SDGsの目標12 「つくる責任 つかう責任」 では
“持続可能な方法で生産し責任をもって消費する”開発目標としてあります。
私たちはつくる責任として
消費する側へ安心、安全に消費してもらうための仕組みを確立 していかなければならないと考えます。

トレーサビリティの確立は、消費者からの信頼、問題が発生した際の追跡の他、
データ傾向を分析することでリスクの回避、品質改善に役立ち生産性の向上、
コストの削減が期待できます。

企業により取り組みは様々です。

今回のブログをひとつの事例として参考にしていただければ幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。